リョウ:3針縫う

幼稚園の園庭で子供達を遊ばせていたときの出来事。
リョウがバギーに乗ろうとして足を踏み外して転倒。運悪く、となりに三輪車が置いてありそこに頭をぶつけて号泣。
よく見ると・・・・ぱっくりと1センチくらいの穴がおでこの横に開いていた。
それを見るなり、思考停止の私。え、なにこれ。という感じで。それを見た周りのママが早く外科に行って縫ってもらった方がいいよとアドバイスしてくれ、幼稚園の先生方も集合。至急タクシーを手配してもらい、外科へ搬送。
タクシーに乗ったリョウは、嬉しかったのか泣きもせずにひょうひょうとして私に抱っこされていた。

保険証も何もない状態で、まさに飛び込み外来の私たち。とりあえず夫に連絡し駆け付け要請。
すぐに診察してもらい、縫うことになった。
先生の顔を見て状況を説明する私。なぜか涙が出てきた。

別室に移動して即、縫合開始。
リョウはタオルで身体をぐるぐる巻きにされて、看護婦さん二人に抑えられる。その姿を見届けようとリョウの傷口に麻酔が注入されるところから、針で縫い合わされるところを見ていた私。
「お母さん、大丈夫ですか?」と声をかけられたが「大丈夫です。」と答える。夫が病院に到着した旨も伝えられた。

すると、次第に身体が熱くなり、頭がボーっとしてきて、これはやばいなと思いベッドに腰掛けたのだが・・・。
その次の瞬間に記憶を失い、気づいたときはベッドの下に倒れていた。
そこからは意識は戻ったものの、声が出せずに喉がふさがっているような感覚。
血圧を測られたら 69 と通常の半分程に低下。 本当にこんな風に人は貧血になって倒れるんだ。と思った。
夫曰く、顔色が真っ青で本当に血の気がなかったとのこと。
ベッドに寝ている時は、涙があふれてきた。

きっと、リョウに対する申し訳なさ、自分に対する不甲斐なさで感情が高ぶった結果だと思う。
早くリョウを抱きしめてあげたかったのに・・。
泣き叫ぶリョウの姿が脳裏に焼き付いている。

男児を育てるには心臓を鍛えられるものなのね。と新しい体験をして思ったのでした。